ギターのコンディションを知ろう
その3 12フレットの弦高

6弦12フレットの弦高はギターのコンディションを管理する上で重要なポイントですね。

中古の売買でもよく「6弦12フレットで何ミリ」という表示がありますね。普段から自分のギターのこの部分をよく見るようにしていると微妙な違いも感じられるようになります。



ぱっと見て「あっ最近少し上がってきたな」とか「弦を太いのに換えたらここが上がった」とか,見ただけでわかるようになります。



弦高が上がる理由は大きく2つあります。

1 ネックが順反り方向に起きてきている。

2 トップが膨らんできている。


どっちが大変かは,当然トップです。ネックはロッドで調整可能ですが,トップはどうしましょう。膨らんでしまうとギターとしての価値が下がってしまいます。


いつも12フレットの弦高を注意して見る習慣をつけましょう。



NIIOKAモデルは低めです。この写真は角度がありますので,本当はミディアムゲージで2.1ミリくらいです。

スタジオMの標準が6弦12フレットで2.5ミリになっています。実はこれはかなりいい線だと思います。



この弦高をどうやって下げるかというと,サドルを削るのですが,これがコツが要ります。上の部分を削るのか,下の面をキレイに削るのか。下ははじめにバリをとるだけにして,上面だけを削ってくださいというショップの方もいます。


実際やってみると,底面を完全に平にするのはかなりしんどい事が分かります。心をまっすぐにしてやってみても曲がっていたりします。



ププッ ( ̄m ̄*)



L型の何かと一緒に持って,削らないと直角が出なくて,ブリッジとの密着度が下がり,音に影響する可能性があります。
でも,挑戦したくなるのですね。オタクだから。



素材はタスク(TASQ)がいいですね。削りやすいのです。そして,平らな面を使い,奥から手前に引くだけの一方向でやってみます。でも,次にやる時はやはりLアングルと一緒に持って
みます。

耐水ペーパーの400〜600位で削って,1000番は仕上げという感じでしょうか。艶が出ます。



NIIOKAモデルはマーチンのタスクが標準なので,モノが手に入りやすく助かります。特殊サイズだと在庫していない店が多いですよね。800円くらいですから。音はいいですよ。机に落とすとチャリーンと高音質で鳴ります。MAN−MADE IVORY(人口象牙)とあります。



新品は最初から両端が補正(コンペンセイテッド)になっていますが,それでチューニングしてみるとなんだか合わせにくいのです。微妙な所ですが,もう少し補正してみます。


補正も正確には理論や数値があると思いますが,エレキギターではないので,アコギはそこまで求められないと思います。
また,アコギの命は生音ですから,気持ち悪くない程度の補正で良いと思います。

それで,私はタカミネとかローデンなどの分割サドルみたいなラインを出せればいいように思います。1〜2弦で斜めに下がって,3〜6弦でまた斜めに下がる感じです。



2弦をバックさせて,1弦は少し戻して,3弦は弦長を少し短く6弦は長くという感じにしますが,弦高だけでなく形状も大切です。

先端の形状を鋭角な△にすると,音はシャープになり高音が出ます。反対に先端を丸くして面接触で弦が乗るようにすると丸い音になります。やりすぎると輪郭のない音になる気もします。



このサドルだけでかなりの程度,音のつまりや伸び,音色までが左右されます。それで,私もサドルを自分でいじるようになってからアコギは,音質的に変えられる部分と変えられない板の響きがある事が分かってきました。


これを感じるようになれば,ギターを試奏する際に違います。これはもっと高音よりに調整できるだろうとか,もっとマイルドにできるだろうとか。
それよりも,ギターそのモノが鳴っているのかいないのかが,わかるようになります。板の鳴りは変化できないので,これを見極める必要があります。



プロとアマの差は作業時間だと思います。プロは短時間で仕上げます。
アマチュアはゆっくりと時間をかけて慎重にそして,何個か作ってみる気持ちでやればプロと同じかそれ以上に自分にマッチしたものができると思います。



それで,弦高を下げると当然弾きやすくなりますし,テンション感も低くなりますし,弦を引っ張る量が少ないのですから,コードを押えたときのチューニングの狂いも当然,押えられます。



では,いいことだらけかというと違うのです。

なんと生鳴りが下がっていくのです。音量が小さくなります。この差は無視できないのです。



(; ̄Д ̄)なんじゃと?




下はソモギが書いた理論です。サドルが下がっていくと弦のトップにかかる力が小さくなっていくのです。




私のスタジオM NIIOKAモデルでの実験では6弦12フレットで2.5ミリだと良く鳴ります。 2.3ミリだと鳴りが少し小さいですが,まだ大丈夫です。

2.0ミリまで行くと明らかに生音が小さくなります。
やや順反りにしているので,ビビリはなく弾きやすさは最高ですが,生音が小さいのはもったいないような感じもあります。



でもここは何を目指すかです。ライブ用ギターに仕上げるかレコーディングギターに仕上げるかで違いますね。


レコーディング用で生音重視なら多少弾きにくくても,いい音を目指しますが,ライブ用であれば音は実際にはピックアップですから,生鳴りが下がっても弾きやすさを優先しますよね。

そういうわけで,プロが弦高を下げる設定にしている時はただまねをせずに,自分はどっちよりの仕上げにしたいか決めてからがいいですよね。



さらに,さらに,弦高を下げすぎるとタッピングの音は出しにくいですよ。少しテンションがあった方が押尾的な左手タッピングはいい音になります。奏法との関係でも弦高が決まりますので,リペアマンの数値だけを鵜呑みにしないようにしましょう。


参考になるページです。

サウンドクリエイター バナナムーン

彼はきっとすばらしい仕事をすると思います。同じラリビーを持っているというのも共感できます。でも,彼の弾き方はたたき系ではないと思いますので,オススメの弦高にすると低すぎると思います。でも,このHPのリペアファイルは時間をかけて読む価値がありますよ。





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