ネックアイロンの効果はどれほどか



このWEBを読んでいる皆さんならギターの音はネック起きと結構関係があると私が何度も言うのを知っていると思います。


でも,その違いを体験して知っている人は少ないでしょうね。


私も昔は分かりませんでしたし。



(^∧^) スミマセンです。



でも,簡単な実験でこの違いを確かめる方法があります。


チューニングした状態で自分のギターのロッドを思い切り緩めてみます。


そして,ギターを順反りにしてみるわけです。


そうすると,ある人は・・・



ワオ w(°o°;)w


箱が鳴ってすごい!音量が大きくなった。低音が出るようになった!

と誤解するかもしれません。


もちろん音が大きくなることはあるのですが,バランスは狂った音になるんです。

正常な位置からロッドが緩んで,大きな順反りになればプレーン弦の音が前に出なくなります。


箱が鳴るといっても箱の中でこもったような感じで前に出て行かない音になったりします。


稀に,今が弦高低すぎの逆反りだったりすれば,緩めて正常に鳴ることもありますが,普通はおかしなバランスになるんですね。



ネックが元起きになると,ネックを1Fから14Fまでまっすぐにしたとしても,ジョイント部分の角度が狂っているので,ナットの位置が本来の位置よりも数ミリ前に出てしまいます。

これによって,箱が鳴るギターほどおかしなバランスで鳴っているように感じると思います。

それで,ロッドを絞め込みすぎて,7Fから逆反りにさせてしまう人がいるのもわかる気がします。


o(ToT)o ダー



本来のギターの音色が出ていないのはとても残念ですよね。


今回の患者さんはモーリスSシリーズですね。




割と何件もモーリスのネック起き修理をしております。

モーリスは結構ネックが起きますが,きちんと直ります。
起きやすく戻りやすいという感じでしょうか。




持ち主の方は,順反りも結構強くて起きもあると言うのですが・・・




全体のネックの状態を見て行きます。





左のぽっちが7Fで右が9Fです。

反りも大きめですね。


ネック起きの写真を撮るのは難しいのです。
また,ネックの通りを確認できるようになるには経験が必要だと思います。

でも,簡単にチェックする方法があります。



6弦の9Fと20Fを押さえて,14Fを叩きます。

ここが大きくカツカツと言えば,ジョイント部分で V の字になっているということですよね。

ここは理想的には私はわずかですが へ の字型になるのがいいと思います。


まっすぐももちろんOKです。

でもカツカツが最小限度,許容範囲にあればOKです。

1弦の12Fから15フレットまでがきれいに音が出ればいいと思いますよ。





こうやってアイロンをかけて,ジグで固定してネックの通りを確かめます。





特注のジグです。

これでネックのジョイント部分が反対になるように力をかけて熱を加えます。





時間を測ってここで待っていることは出来ませんので,電源タイマーを使います。

1.5時間を最高温でかけて自然に切れるようにします。


長時間の熱は指板が乾燥しすぎて,バインディングのはがれ,フレット端の浮きなどにつながったりします。


私は高音で短時間というのがいいように思いますが,低音を何度も繰り返すという人もいるようです。

高音短時間を何度も繰り返すというパターンもあるようです。







では,結果はどうでしょうか。


オン ドラムス



♪ ダラララララララララララララーーーーン  





直りました。


O(≧∇≦)O イエイ!!





フレットに水準器がくっ付いていますよね。





アルミものさし30センチでさらに部分的に見ます。


ジョイント部分でもフレットに接触しています。





このフレットの通りを写真に撮るのが難しいのですが,14F以降少し下がるようになっていると思います。

スキージャンプの反対になればいいのですね。

スキージャンプ状態をアメリカではタングアップと言っていたと思います。
舌べろが跳ね上がっている感じでしょうか。


NYのマット・ウマノフで見たビンテージはかなり高級な値段でしたが,ほとんどがネックリセットされていてコンディションは14F以降が軽く下がって行くセッティングでした。


物理的に削るか,熱で曲げるか。

いい音が出ればどっちでもOKですよね。

でも,次のことも考慮に入れればいいと思いますよ。


ビンテージでネック材も枯れていれば,ネックが曲がりにくいので削るというのが適しているようにも思います。

まだ,若いギターの場合はアイロン調整も価値があるように私は思いますよ。



(⌒^⌒)b なるほど






6弦側もかなりいいところに来ていると思います。



サドルを作り直して,ナット溝をV字やすりで,角度緩めで調整します。



音を聞いてみます。


♪ ポロロローン




w(°o°)w おおっ!!  ヘンハオ!  (Very Goodということです)




最初に出ていた,曇ったような音とは違いますね。

プレーン弦の音が前に出てくるとてもいい音です。

さらに倍音も広がります。
ソロギターにはとてもイイ音ですね。


弦鳴りと箱鳴りがとてもちょうど良くバランスしていますね。


ギターそのもののレスポンスが上がると,テンションがかなり緩く感じられるのが不思議です。


実際は1時間弾くと少し指先に少し疲労感があるので,テンションがあったことが分かります。

でも,このテンションがあるのに軽く感じるというのが大切な気がしています。


緩すぎるとギターが鳴らなくなり,強く弾くので表現力が下がったりしますよね。




いい音が出るとギターは楽しいですね。





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(≧∇≦)b OK!




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